あなたは栄養成分の「ナイアシン」をご存知ですか?
ナイアシンは、8種類あるビタミンB類の一種で「ビタミンB3」とも呼ばれており、体内でエネルギーを生産する補助的な役割を果たすため、とても重要な栄養成分です。
ナイアシンが不足してしまうと、倦怠感や皮膚、精神にまで影響が出てしまいます。ナイアシンは人の体内に豊富に存在しているため、あえて食事などで補給する必要はないと考えられてきました。しかし、不規則な食事やアルコールの多量摂取により欠乏症が見られることがあります。
今回は、ナイアシンにスポットをあてて詳しくご紹介します。
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ナイアシンとは
ナイアシンは体内でエネルギーを生産する補助的な役割がありますが、具体的にどんな働きをして、不足するとどんな症状が現れるのでしょうか。また、摂取量やサプリについても見ていきましょう。
ナイアシンって?
ナイアシンとは水溶性のビタミンのことであり、ビタミンB群の一つで別名「ビタミンB3」 とも呼ばれています。
熱に強い性質があり、三大栄養素の糖質や脂質、タンパク質をエネルギーへと変換するため代謝を助ける補酵素の働きがあり、人の体になくてはならない水溶性ビタミンです。
また循環系や消化器系、神経系の働きを助ける働きもあり、ダイエットとも深いかかわりがある栄養素であるため健康的に痩せたい人は知っておいた方が良い栄養素です。
ナイアシンの働き
体内でエネルギーを生成する
ナイアシンには「糖質・脂質代謝促進」と呼ばれる作用があります。
糖質・脂質代謝促進とはつまり、食べ物から吸収される糖質や脂質、タンパク質などからエネルギーを生成する働きのことです。体内で生成されるエネルギーのうち60~70%がこのナイアシンによるものだとも言われてます。
また、さらにDL(悪玉コレステロール)を減らしHDL(善玉コレステロール)を増やすことで、心臓病を予防する働きやがん予防の働きもあるといわれています。
アルコールの分解・二日酔い予防
アルコールの中に含まれるアセトアルデヒドという成分が、飲酒の際に顔を赤くしたり、二日酔いの原因になることは広く知られているかと思います。
ナイアシンには、そのアセトアルデヒドを分解する作用があり、お酒を飲む際に摂取すると二日酔いの防止にも効果があるとされます。また、お酒を大量に飲むとそれに応じてナイアシンも大量に消費されてしまいます。
皮膚の状態保持左様
ナイアシンが代謝と深い関係にあることはわかっていただいたかと思います。
そしてその関係上、皮膚と粘膜の代謝を正常化させることで口内炎や肌荒れを軽減してくれます。
血管の拡張作用
ナイアシンには、血管を広げる作用があります。
血管が拡張することによって血行が促進され、冷え性や肩こりなどの軽減に効果的だと考えられています。また、血中のコレステロールを減らしたり老廃物を分解する作用もあるため、血液サラサラへの効果も期待できます。
摂取量の目安
ナイアシンの平均摂取量の目安は、「厚生労働省 日本人の食事摂取基準」より、男性は18~49才で13mg、50~69才では12㎎、70才以上では9㎎です。
また、女性は18~49才で10mg(妊婦は10~12㎎、授乳婦は12㎎)、50~69才は9㎎、70才以上では7㎎となっています。
また、ナイアシンを摂取しても良い量の上限は男女ともに30mgです。妊娠中や授乳中の人は少し多めに摂るのがおすすめです。
サプリでもとれるが過剰摂取には注意
ナイアシンは毎日普通の食事をしていれば、必要な量は充分摂取できています。
実は、ビタミンB群のサプリにもナイアシンは含まれています。しかしナイアシンである程度の効果が出すには、ナイアシン単体を多めに摂取する必要があると言われています。
ナイアシンのサプリはあくまでもビタミン剤であり薬ではありませんので、長期的に摂ることで症状が改善される可能性があります。
また、ナイアシンは過剰に摂取し過ぎると「ナイアシン・ショック(ナイアシン・フラッシュ)」という症状を引き起こし、体のほてりやかゆみが生じる場合がありますので、注意が必要です。
不足するとどうなる?

ナイアシンは全身の代謝に関わる重要な栄養素ですので、不足すると皮膚炎や下痢などを引き起こします。
ナイアシンは体内でも生成できる栄養素ですが、生成過程でたくさんのビタミンやアミノ酸のトリプトファンなどが必要で、これらの栄養素がないと生成することができません。
したがってナイアシンが不足するのは、食事などからナイアシンとトリプトファンの両方が摂取できない場合のみ、ということになります。
消化器官に障害、食欲不振
ナイアシンが不足すると、初期症状では皮膚や粘膜に炎症が現れます。
そしてさらに進行していくと、消化器官に障害が起こり、食欲不振や一般薬では効かないほどの激しい下痢が見られるようになります。
皮膚の症状としては、顔や首、手足などの日に当たる部分が左右対称で赤くなったり、水ほう、かさぶたなどが見られ、色素沈着が現れるようになります。
倦怠感・精神状態の悪化
寝ても疲れが取れないような慢性疲労や倦怠感がある人は、ナイアシン不足が原因かもしれません。
また、ナイアシン不足は神経にも障害が起こりやすくなり、進行するとうつ状態になってしまう場合があります。精神症状としては認知症、不安、抑うつ状態、せん妄、幻覚などが現れるようになります。
食事で摂取!ナイアシンを含む食材とは
ナイアシンは必要量は普段の食事でほぼ補うことができます。食事で摂取するほか、体内でも作られるので大量のアルコール摂取や、極端に偏った食事をしない限り、不足することはありません。
ナイアシンを食事で摂取する場合、ナイアシンは熱に強いので、加熱する料理に向いています。
しかし同時に、水に溶けやすい性質があるため、煮込み調理だと煮汁に流れ出てしまいます。そのため、煮汁も食べられるスープや餡かけなどの調理法がおすすめです。
ナイアシンは糖質や脂質,タンパク質をエネルギーに変換してくれる栄養素ですが、同じような働きのあるビタミンB1、B2,B6も合わせて摂取すると、効果が倍増します。
肝臓系
レバーは鉄分だけではなく、ナイアシンも多く含む食材です。
豚や牛のレバーは生で食べるよりも加熱調理して下さい。100gで1日の摂取量になります。
また、魚やレバーが苦手な人は玄米を代用しましょう。玄米をお茶碗で1杯摂ると、約3mgのナイアシンを摂取できます。1日お茶椀4杯から5杯の量になります。
さらに玄米も苦手だという人は、玄米を白米に精米するときに出る「ぬか」がおすすめです。「ぬか」をフライパンで5分中火で煎ったものを摂取して下さい。
肉・魚類
ナイアシンはたらこ、マグロ、カツオ、サバ、ブリなどの魚や鶏肉などの動物性食品に多く含まれています。
マグロやカツオは刺身など生の状態で食べた方が効果があります。だいたい切り身で10切れほど食べると、1日の摂取目安量となりますので、参考にして下さい。
魚を毎日食べる食生活であれば、ナイアシンが不足することはまずありません。また、ご飯のお供の定番のたらこや辛子明太子も、一腹食べるだけで推奨量以上のナイアシンを摂取することができ、かつお節もおすすめです。
落花生
落花生にはナイアシンが多く含まれています。
アルコール摂取時、アセトアルデヒトという二日酔いを起こす成分の分解を助ける働きがあります。豆腐もまた同様にナイアシンなどにより、アルコール分解を促進してくれるため、お酒のおつまみとしてもおすすめです。
また、胡麻やひまわりの種もナイアシンを摂取しやすい食材です。
きのこ類
ナイアシンは、きのこ類にも多く含まれています。
お味噌汁や炒め物にしても、ナイアシンを摂取しやすいおすすめ食材です。
まとめ
ナイアシンは大量に必要な栄養素ではありません。
しかし、多忙な毎日やストレス、ダイエット、妊娠など私たちの生活習慣や体調が変わることで不足することがあるのがビタミンB群です。
毎日のバランスの良い食事を基本として、適度に補うことを心がけましょう。くれぐれも摂取量には気をつけて下さい。
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