シワの改善に有効ということで知られているボトックスですが、それがどんなものか、詳しくご存知ですか。ボトックスという治療があることを知っていても、その概要を詳しく知らない、ということもあるかもしれません。
食中毒の時期になるとよく聞く、その原因となる「ボツリヌス菌」の毒素を医学的に利用しているのがボトックスです。この菌は、筋肉に注入することで、シワの改善などの治療に効果があるのです。
きちんと製剤となっているので、食中毒の原因菌の毒素ではありますが、危険はなく安心して使うことができます。またメスを使わずにできる治療であるために、気軽な気持ちでできることも重要な要素の一つですね。ボトックスがどんなものなのか、何に気をつけるべきなのかを、もっと詳しくご紹介していきましょう。
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1.ボトックス注射による様々な効果

加齢とともに気になってくるシワに効果があるというのが一番知られていると思いますが、実はそれだけではありません。筋肉をマヒさせて、固まった筋肉をほぐす働きを利用しているものなので、筋肉が関係している様々な部分に効果があるのです。
脳卒中の後遺症から来る症状の改善や、痙縮・痙攣などの治療を目的とした使われ方をしていたのですが、後にプチ整形としてボトックス注射が用いられるようになりました。その利点もきちんとあります。その効果を、項目ごとに見ていきましょう。
1.小顔
小顔を目的にボトックス注射をするのは、咬筋(コウキン)という場所になります。この場所は、奥歯をかみしめるときに使う筋肉のことですが、この説明では具体的な場所がピンと来ないかもしれません。頬の辺りと言えば分かりやすいでしょうか。
咬筋は、原因はいろいろありますが、こり固まって厚くなってしまうことがあるようです。そのせいで、顔が大きく見えてしまうんですね。
その部分にボトックス注射をすれば、こり固まって厚くなっていた部分が、マヒすることにより薄くなり、すっきりとした輪郭になることで、小顔効果があるのです。
2.シワの解消
ボトックスの効果として一番有名なのは、シワに対する効果です。筋肉をマヒさせることによって、症状を改善させていくという特性があることは説明しているので、ピンと来る方もいるかもしれません。
ボトックス注射によっては改善するシワと改善しないシワがあります。この見極めはきちんとしておきたいところですね。
一体どんなシワに効果があるのかというと、表情筋が作るシワに効果があるのです。笑顔になると目立つシワや、眉をひそめたときなどによる眉間や額のシワなど、表情が浮かんだときに気になるシワには大変効果があります。
なぜ表情を変えるとシワになるのかというと、表情筋が必要以上に動いているからなので、その表情筋にボトックス注射をすることにより、表情筋の働きを抑制させ、シワを目立たなくすることができるのです。
3.エラが張った顔に
エラが張っている状態というのは、小顔の項目でも紹介した咬筋が発達しすぎて、厚みが出てしまっている可能性があります。そこにボトックス注射をすると、発達しすぎた咬筋にかかりすぎている力を弱め、厚みがなくなっていきます。そのおかげで、エラが張った状態を緩和してくれます。
当たり前のことですが、咬筋が関わっているエラの張りにしか効果がありませんので、骨の形のせいでエラが張っている場合には効果は期待できません。
エラが張った顔にボトックス治療を用いる場合は、きちんと咬筋が原因か調べてもらうことが大切です。
4.ふくらはぎ痩身
運動をしていた経験から、ふくらはぎの筋肉が発達している人にとても効果的なのが、ボトックス注射です。太くなったふくらはぎの筋肉が細くなり、その結果、ふくらはぎが細くなっていきます。
なぜ細くなるかというと、筋肉をマヒさせることにより、ふくらはぎの筋肉が動かなくなります。すると使われなくなった筋肉は、どんどん細くなっていくのです。
筋肉に作用する治療ですから、ほとんど筋肉がない人には効果はないでしょう。
5.多汗症
過剰に出すぎる汗を抑えるために、ボトックス注射をすることにより、汗の量を抑える治療をしていきます。体全体に広がるエクリン汗腺が、活発に活動することにより、多汗症になってしまいます。また、その周りにある自律神経のバランスが崩れることにより、多汗症になってしまう場合もあるようです。
特に汗をかく部分に、ボトックス注射をすると、自律神経の働きが緩和され、汗の量が少なくなるように働きかけていきます。そのため、多汗症の症状が改善されていくのです。
一部分からの汗が減ることによって、別の汗腺から汗をかくようになるのではないかと心配する方もいるでしょう。しかし、そのリスクはありません。過剰に出すぎていた汗を抑制しているだけなのです。余談ですが、「わきが」の治療にはボトックスが用いられることはありません。原因となる汗腺の種類が違うため、効果がないからです。
2.ボトックス注射のメリット

紹介してきた通り、いろいろな効果があるボトックスですが、そのメリットとは一体何なのでしょうか。まず「注射」という方法であることからも分かるように、時間がほとんどかかりません。また、メスを使わないので、手術に抵抗がある人でも、抵抗なく受け入れることができるのが一番でしょう。
ですが、それだけでは安心できませんよね。先ほど挙げた以外にもメリットはもちろんあるんです。それがどんなものか、ご紹介していきましょう。
1.体への負担が少ない
ボトックスの製剤が、ボツリヌス菌の毒素であることから、不安になる人はいるでしょう。しかし、ボツリヌス菌そのものを注入するわけではありませんから、危険はありません。
それどころか、副作用がほとんどない、安全性の高い治療法と言われています。ダウンタイムはほとんどありません。注射跡が気になる程度ではないでしょうか。
外科手術しか治療法がなかった頃と比べても、体への負担は確実に減っているのです。
ただし、ごく一部の薬をボトックスと併用すると、副作用が出やすくなるため、その点には注意が必要です。施術前にはカウンセリングがありますので、服用している薬がある方は、そこで医師に相談してみるといいでしょう。
2.安い費用で受けられる
一回の価格は、シワ治療なら数万円、エラ治療やふくらはぎの治療では10万円、汗腺の治療では15~30万程度が相場のようです。この値段は、外科手術などで改善することを考えれば安い料金設定となっています。
また、初回はキャンペーン価格で提供しているクリニックもあるので、非常に安く体験することができるのも魅力の一つです。
3.周囲からバレにくい
ボトックス治療は、周囲の人から施術したことが気付かれにくいのです。施術後すぐに効果が表れるのではなく、数日から一週間程度経ってから徐々に効果が現れるためです。
施術してからすぐに顔が変わってしまうと、周囲の人にすぐバレてしまいますが、ボトックスなら、そんな心配はありません。緩やかに改善していくために、ボトックスの治療をしていることを知られたくない場合でも、安心して施術することができるのです。
4.気にいらなくても元に戻る
これはいい見方も悪い見方もできますが、ボトックスの効果には持続時間があります。もしボトックスをして、効果が実感できなかったときや、思ったほどよくなかったときなどは、一回で止めて、元に戻るまで待てばいいのです。
ボトックスの効果が持続する期間は、早くて3か月、長くても半年程度です。ですから、もうやりたくないと思っても、そのまま期間が過ぎるのを待てば、次第に元の状態に戻ってくるのです。
これが外科手術なら、元に戻すことはできません。いずれ元に戻るならやってみようと気軽に試すことができるのが、ボトックスのメリットの一つです。
3.ボトックス注射のデメリット

物事にはいいこともあれば悪いこともあるものです。それはボトックスも同じ。では、ボトックスにはどんなデメリットがあるのでしょうか。
効果が持続する期間があるため、繰り返し施術を行わなければならないことが一番に浮かびます。これは、気に入らなかったときにはメリットとなるのですが、ボトックスがとても気に入ってしまった場合、負担になることもあるようです。
ボトックスの効果が持続する期間には個人差があるため、正確な回数は言えませんが、長くても半年しか持たないため、年に数回は打ち続けなければなりません。一回の金額は大きくなくても、繰り返すことでかなりの負担がかかってくるのです。これ以外の気になるデメリットもご紹介していきましょう。
1.効果実感まで時間がかかる
これも、メリットと紙一重の部分ではありますが、なかなか効果が実感できない部分があります。ボトックスを行ってから、すぐ目に見えた効果がないからです。
ボトックス注射をして、製剤を注入してから、吸収されるまでに時間がかかるため、目に見えた効果を感じることができません。早くても数日、遅ければ一週間の期間が必要なのです。すぐに変化が欲しいと言う人には向かない治療法かもしれませんね。
2.注射が痛い

ボトックスは注射ですから、針が刺さるときに痛みを覚えるのはしかたないことでしょう。しかし、その対策のためにクリニックでは、局所麻酔を使ったり、針の太さを細くしたり、薬剤がたくさん注入できるようその通り道が広い針を使用したりしてくれます。しかし、ボトックス注射の痛みの原因はそれだけではありません。
体からすれば異物である薬剤を入れるわけですから、その点で痛みを覚えることもあるようです。
3.副作用が出る場合がある
ボトックスは、副作用・アレルギー共にほとんどないと言われています。しかし、それはあくまでもほとんどであり、全くないというわけではなりません。
頭痛など風邪のような症状が出たり、眉毛が垂れ下がるといった局所症状が出る場合があります。これは、製剤を注入しすぎたり、筋肉をマヒさせるというボトックスの効果が引き起こす症状なので、この状態に体が慣れるまで数日続くようです。稀にそれ以上に長く続くケースもありますが、一生付き合わなければならないものではないようです。
また、注射跡の部分が腫れたり、痛みが出たりする場合があります。こちらの方が、より症状としては出やすいものになるので、覚えておくといいでしょう。痛みのせいで、施術箇所を触ったりマッサージしたりしたくなるかもしれませんが、それは大変危険な行為なので止めましょう。思ったような効果が得られないだけでなく、治療する必要のない場所に、製剤が溢れてしまいます。
まとめ

手軽にできるボトックスを紹介してきましたが、その治療は施術箇所にもよりますが、早くて5分、長くても1時間程度で終わるそうです。そんな短い時間でできるなら、やってみようかなと思い人もいるかもしれませんね。ボトックスにはまだ紹介していない注意点がありますので、最後にまとめとして書いておこうと思います。
妊娠中の人や妊娠の可能性がある場合は受けられない
妊娠中の人や妊娠の可能性があると受けられません。まだ、妊娠中のボトックス治療が安全だと言い切れないためです。お腹の中の赤ちゃんを健康に産むためにも、妊娠している人や、子供を作ろうと考えている人は、避けた方がいいでしょう。
また、精神科に通院している場合は、精神科医の許可が必要となりますし、許可が得られても施術するクリニックが断る場合もあるようです。精神科で処方される薬の中には、筋肉を弛緩させる働きがあるものが含まれているため、副作用の原因にもなるためです。
この他の薬の服用でも危険が伴う場合がありますので、薬を服用する予定がある人や、服用中の薬がある場合は、医師に相談するようにしてください。
医師によって差がある
また、ボトックスは医師によって、その技術が大きく異なります。施術の際に注入する量の微細な差で、効果が変わってしまうからです。ボトックスを行う際には、そのクリニックがどれだけ実績があるのかきちんと調べておきましょう。
実際に、ボトックスの効果について不満をいだいている人の中には、医師の技術不足によってうまくいかなかったケースもあるようです。医師の選定はしっかりしましょう。
手軽で簡単に美しくなることができることができるからこそ、その選択肢はとても幅広いもの。ほとんどの美容クリニックで受けることができますので、トラブルを招かないためにも、しっかり調べて自己防衛も怠らないようにしたいものです。
ボトックスの製剤にも種類がありますが、厚生省から承認されている「ボトックスビスタ」がお勧めです。日本人への有効性と安全性が確認されているそうなので、これを導入しているかどうかも、クリニック選びの大きなポイントになりそうですね。
ボトックスは、アンチエイジングの強い味方です。信頼できる医師を見つけて、不安な点はきちんと話し合って、今よりももっと美しい肌を手に入れてください。
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